山積みの問題を解決するために情報をシンプルに整理した「2軸思考」という思考方法があります。
「あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える」というものです。
『2軸思考』(木部 智之著、KADOKAWA)の主旨は、「複雑な問題をシンプルに整理することで解決を速くする」です。
あらゆるトラブルや山積みの問題を乗り越えてきた著者が分かったことが2つありました。
・問題は、シンプルにしないと解決できない。
・問題は、書き出すことで解決が速くなる。
複雑な問題をシンプルに「構造化」し、書き出して「見える化」する。このたった2つのことを満たしていれば、あらゆる問題は解決することができるのです。デカルトは「困難は分解せよ」と言い、ビル・ゲイツは「問題は切り分けろ」と言いました。そして、レオナルド・ダ・ヴィンチは「シンプルさは究極の洗練である」という言葉を残しています。これらは、あらゆる仕事のおいて真実です。 (「はじめに」より)
複雑な問題はシンプルに整理することで解決できる。
シンプルに整理されることで、「重要なこと」と「重要でないこと」が明確になります。つまり、考える必要のないことを切り捨てて解決スピードを上げることに繋がるというわけです。
このような時代にこそ、「いかに速く、いかに深く考えられるか」が成果を大きく左右します。ある問題に直面したときに、「問題に対して単に思いつきで対処する人」と「問題をロジカルにシンプルに整理して解決する人」とでは大きな差がついていくのが、いまの時代なのです。 (15ページより)
本書の構成
・2軸思考の概念とメリット (基本編)
・2軸フレームワークの作り方 (基本編)
・2軸を使った「問題解決」「伝え方」「資料作成」 (実践編)
・2軸フレームワークのカタログ (全22種)
情報を整理するカギは、スタートに「考える枠」を考える。
「動く前に考える」ということは理解していても、いざ難しい問題を目の前にしたときには、どうしたらよいか分からない人も多いです。
その理由は、「どう考えればいいか」という方法論を知らないということにありました。
筆者は、「最速」でゴールにたどり着くためにいつも次の3つの原則を意識しているとのことです。
最速で問題を解決する3つの原則
- 考える枠を考える。
- 全体像を捉える。
- ムダに考えない。
①考える枠を決める、②全体像を捉える、③ムダに考えない。
この3つの原則を実際に仕事で使う時に役立つのが「フレームワーク」です。
そして、著者がさまざまなフレームワークを試行錯誤した結果、たどり着いたのがタテ軸とヨコ軸の2軸で整理するというやりかたでした。
2軸思考とは?
2軸思考とは、2つの軸を使うことで、問題をシンプルに整理してスピード解決するフレームワークです。
タテ軸とヨコ軸、2本の線を引いて、あらゆる物事や情報をシンプルに整理します。
著者は線の引き方で2軸を3つのパターン(「マトリクス」タイプ、「4象限」タイプ、「グラフ」タイプ)に分類しています。
(『2軸思考』 75ページ 図2−1より抜粋)
「2軸フレームワーク」の作り方
2軸のフレームワークの作り方はとてもシンプルで、次の3ステップで簡単に作り上げることができます。
2軸を作る3ステップ
- 考える目的に合わせて枠のタイプを決める
- タテ軸とヨコ軸を決める
- 枠に情報を埋める
(『2軸思考』 75ページ 図2−1より抜粋)
2軸フレームワークを作る時の5つポイント
5つのコツ
- まずは「手書き」で考える
- ノートは方眼タイプをヨコ向きに使う
- どんなに複雑でも2軸に「決める」
- 「とりあえずマトリクス」で考える
- 思考の「ベクトル(方向)」を意識する
まずは手書きで考える
思考を手書きをしてアウトプットすることは脳に良く、記憶に残りやすくなります。
また、「紙に書き出す」ことで頭の中が「見える化」されると、その情報をきっかけにさらに新しいアイデイアが浮かびやすくなります。さらに、「見える化」されることで、論理破綻や考慮のモレに気づきやすくなります。
スティーブ・ジョブズも、プレゼンを準備するときは紙やホワイトボードでアイディアを書き出して、構成を考えて練りに練ってからパソコンできれいな資料を作ったそうです。
ノートは方眼タイプをヨコ向きに使う
(『2軸思考』 105ページ 図2−6より抜粋)
方眼タイプを使うことで、線が綺麗に引けます。
ヨコ向きに使うのは、人間の目がヨコについているため視線を動かさずに情報を読み取れます。
その結果、書きながら思考がスムーズに進むのです。
また、ヨコ向きがパワーポイントのヨコ向きと同じため、書いた2軸をそのまま資料の下書きに使えるというメリットがあります。
どんなに複雑でも2軸に「決める」
「いろいろなことが絡み合った問題を2軸で整理するのは無理では?」
という意見がありますが、「複数ある中から取捨選択をして2軸に落とし込む」ことが複雑な事象をシンプルにする秘訣です。
複雑→シンプルのギャップが大きければ大きいほど、成果も大きくなり、成果にたどり着くまでの時間を最短にすることができます。
「とりあえずマトリクス」で考える
「マトリクス」「4象限」「グラフ」の3つがありますが、迷ったらまずは「マトリクス」です。
データを並べるだけでも見えてくるものがあるため、新たな切り口やヒントに繋がります。
思考の「ベクトル(方向)」を意識する
軸のベクトル(方向)が何を意味するのかを考えることで、思いついた順番で考える良いも軸のヌケを防いで効率的に考えられます。
例)
- 過去→未来 / 未来→過去
- 小規模な店舗→大規模な店舗 / 都市部の店舗→郊外の店舗
- ステップ1→ステップ2→ステップ3
こうした「2軸思考の概念とメリット」、「2軸フレームワークの作り方」の詳細に続き、後半の「実践編」からは実際に2軸を使った「問題解決」「伝え方」「資料作成」、そして最後は2軸フレームワーク(全22種)ので構成されています。
複雑な問題を抱えることが多い生活の中で、思考をシンプルに整理するために「2軸思考」を活用してみてはいかがでしょうか?