「図解が趣味です」
(「はじめに」6ページより)
この一文から始まる本書『図で考える。シンプルになる』の著者である櫻田潤さんはそう語っています。
もともと趣味で始めた「図解」ですが、今では情報やデータを分かりやすく図で解説する「インフォグラフィック」の第一人者。
その根底には、モノゴトを「理解したい」という欲求があるとのことです。
「普遍的な考え方」「うまくいっているビジネスの秘密」といったものを図にまとめ、自分なりに咀嚼します。図のフォーマットを借りて、知識が体系的にまとまっていくのが面白かったのです。
(「はじめに」8ページより)
本書の構成
- はじめに
- 図になれる
- モノゴトの「関係」を見抜く
- 詳細をヌケモレなく、つかむ
- 「なぜ」「どうして」を突き詰める
- モノゴトを「比べる」
- 「流れ」を考える
- 「組み合わせ」を意識する
- 「方向性」を決める
- 応用「多面的」に考える練習
- 習慣化して武器にする
- 図の見せ方、語り方
- おわりに
人に何かを伝えるには「視点」が必要。
著者いわく、同じテーマであっても、完成した図を見比べると、「その人が何を考えたのか」がにじみ出てきます。
図は、プレゼンツールである前に、自分の考えを磨き上げて投影する思考ツールなのです。
そして、自分が理解して作った図であれば、人に話しやすく、見栄えが洗練されていなくてもほとんど影響しません。
図から得られる2つのシンプル
著者いわく、図は、形が決まったパーツの組み合わせなので表現が限られます。
そのため、モノゴトを理解するときに図を使って考えることで、「理解の型」が生まれます。
2軸思考で言うところの、「考える枠」が出来上がるというわけです。
- 思考プロセスそのものが単純化する
- シンプルなパーツの組み合わせだからムダがない。
本書では著者がモノゴトの利用頻度の高い定番の図(視点)として「7つの図」を紹介しています。
これらの図を仕事で使うと、
- 頭の中のモヤモヤがクリアになる
- 会議、打ち合わせで主導権を握れる
- 要点がスピーディーに伝えられる
- 質の高いプレゼンができるようになる
など、仕事のスピード・質を劇的に高めることができるとのことです。
図で考え、図で語るために
図解の使い方は、主に「思考パート」と「伝達パート」の2つに分けることができます。
「思考パート」とは、自分のために使える図解です。
そして、「伝達パート」とは、人とのコミュニケーションに使える図解です。
思考パート
①題材の決定
自分のこと、会社のこと、これからの将来のことなど、図で考える題材を決めます。
②切り口の決定
題材が決まったら、「深掘りしたいのか」「比べたいのか」など、思考の切り口(使う図)を決めます。
③対象の理解
切り口が決まったら、情報を消化します。
伝達パート
④見せ方の調整
出来上がった図に対して、サイズや形、色などに調整を加えます。
図を分かりやすく磨く行程です。
⑤語り方の調整
それぞれの図に適した語り方で、自分が理解した内容を相手に伝えていきます。
モノゴトを理解するために図解を使い、図の見せ方や語り方が紹介されている本書「図で考える。シンプルになる。」。
巻末では、図の見せ方や語り方がインフォグラフィックを使ってわかりやすく解説されています。
インフォグラフィックに興味がある方はもちろん、思考力を鍛えたい方なども思考を次のステップに進めるために読んでみてはいかがでしょうか?