【具体→抽象→具体】答えのない問題を自分で考えて解決する思考方法!

あなたは、以下のような悩みを持っていないでしょうか?

  • 上司や顧客の言うことがころころ変わって対応に苦慮している
  • 言われたことしかできない指示待ち人間だ
  • 自分の言いたいことが相手にうまく伝わらない
  • SNS上でよく不毛な議論をしてしまう

これらはすべて、本書 『具体⇄抽象トレーニング』(細谷 功著、PHP研究所)のテーマである
「具体と抽象」の視点が欠如していることが主な要因です。

一つでも当てはまる方は、本書のトレーニングをおすすめします。

本書を読むことで、以下のような効果が期待できます。

  • 上司や顧客との関係を改善し、互いに高いパフォーマンスがあげられるようになる
  • 言われたことだけでなく、斬新なアイデアを生み出せるようになる
  • 自分の言いたいことがスムーズに相手に伝わるようになる
  • SNS上での不毛な議論から抜け出せるようになる

本書で紹介する「具体と抽象」の視点を持ち、「具体と抽象」の間を行き来するトレーニングを行うことにより、徐々に世の中の見え方が変わってくることでしょう。

答えのない未知の問題に対して、自分の頭で考え、自分の答えを導き出せるようになること
それが本書の最大の狙いです。

このように具体と抽象という軸をもって世の中を眺めることで、世の中が変わって見えるはずです。本書を読む前と後で、身の回りの事象が違って見えるようになれば、本書の目的は達せられたことになるでしょう。

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.51/2300より抜粋

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なぜ具体と抽象が重要なのか?

そもそも、なぜ「具体と抽象」の視点が重要なのでしょう。

「人間の知の発展」をイメージした、以下の図をご覧ください。

引用:『具体⇄抽象トレーニング』  Kindleの位置No.388/2300  図1より抜粋

知識量・情報量を増やす(横軸)

横軸は、「知識量・情報量」を表しています。

学校の勉強やインターネット検索などによって、知識量・情報量を増やしていくこと。

これは、「知を発展させる」一つの軸となります。

横軸は情報量の大小を表現しています。つまり、横に拡大するということは情報量が増大することを表します。人類が長い歴史を経て膨大な知識や情報を蓄積してきたことは明らかです。

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.389/2300より

抽象度を上げ下げする(縦軸)

縦軸は、本書のテーマ「具体と抽象(抽象度)」を表しています。

具体的な知識・情報を、抽象的な概念にまとめること(抽象度を上げること=抽象化)。
抽象的な概念を、別の具体的な事象に転用すること(抽象度を下げること=具体化)。
これらは、「知を発展させる」もう一つの軸となります。

縦軸が本書のテーマである「具体と抽象」という、いわば「質的」な拡大の軸です。人類の知は単なる量的な拡大だけではなく、質的な発展も遂げてきました。簡単に言えばそれは様々な「法則の発見」であり、また「言葉や数といった抽象概念の発展」です。

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.392/2300より抜粋

知を発展させる(両軸)

正三角形が左から右へ大きくなっていく流れは、「知の発展」を表しています。

横軸、縦軸のどちらか一方を広げるのでは、三角形はペシャンコになり大きくなりません。両軸を一緒に広げることで、正三角形が大きくなっていきます。

つまり、横軸の知識量・情報量を増やし、縦軸の抽象度を上げ下げすることによって、知が発展していくということです。

抽象化・具体化により自分の頭で考える

ただ、学校教育や社会全般における価値観は、「問題には正解がある」「知らないより知っている方が常に偉い」という、横軸の知識量・情報量の優劣によって支配されています。

しかし、現実は、正解のない問題がほとんどです。誰かの出した答えを覚えるのではなく、自分の頭で答えを考えなければなりません。そこで重要となるのが、縦軸の抽象度(具体と抽象)という尺度です。

本書は、この縦軸の抽象度にフォーカスし、抽象度を上下させて(抽象化と具体化を行って)、自分の頭で答えを考えるトレーニングを用意しています。

中学・高校・大学などの入学試験勉強は、人生における基本的な知識や考え方を一通り学ぶ機会としてはそれなりに有効なものであると思います。一方で、その最大の弊害は、「問題には正解があり、知識量のみが優劣を決める」という価値観が一生に渡って植え付けられてしまうことです。本書では、その価値観から抜け出して、具体と抽象の往復によって「自分なりの解」を見つけるきっかけを提供したいと考えます。

引用:『具体⇄抽象トレーニング』No.83/2300より抜粋

具体と抽象に基づく問題解決

抽象度の上げ下げ(抽象化と具体化)ができるようになると、どのように問題を解決できるのでしょうか。

問題解決には、良い問題解決と悪い問題解決があります。

悪い問題解決とは、抽象度の上げ下げのない問題解決のことです。つまり、具体は具体のまま(具体→具体)、抽象は抽象のまま(抽象→抽象)で試みる解決法です。

一方、良い問題解決とは、抽象度の上げ下げのある問題解決のことです。つまり、具体的な問題を一旦抽象化して抽象的概念にまとめてから(具体→抽象)、具体化して実際の問題解決に当たる(抽象→具体)という解決法です。

以下は、「問題解決の3パターン」を表した図です。

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.307/2300  図3より抜粋

以上3つの問題解決について、以下のケースを例に、対処の違いを見てみます。 

抽象化しない問題解決(具体→具体)

(例) 顧客に「値段が高い」と言われたらどうしますか?

具体的な現象だけを見て、抽象化せずに解決に当たる「表面的な問題解決」です。

決まったルールを絶対視し、言われたことしかできない、思考停止状態の人が該当します。

本質的な問題を見極められていないので、たとえば、以下のような対応をしてしまいます。

  • 何も考えず、顧客に言われた通りに値下げする
  • 過去に景品を付けて解決したことがあるので、深く考えず、今回も景品を付ける
  • 社内ルールで値下げは原則禁止なので、「値下げできません」とだけ回答する

具体化しない問題解決(抽象→抽象)

現場を見ず、具体的な行動をせずに解決に当たる「机上の問題解決」です。

べき論を語るのが好きで、口だけで一切行動を伴わない、無責任な人が該当します。

具体的なアクションに落とし込めていないので、たとえば、以下のような対応をしてしまいます。

  • 「お客様のご希望に添えるよう最善を尽くします」と回答して、結局何もしない
  • 「適宜迅速に対応策を徹底強化します」と回答して、結局何もしない

抽象化→具体化による問題解決(具体→抽象→具体)

現実の事象を具体的にとらえ、抽象化して問題の本質を見極めてから、具体的な解決に当たる「根本的な問題解決」です。

「値段が高い」と言われても、額面通り受け取るのではなく、たとえば、以下のように、根本的な問題を見出してから対処に当たります。

  • 開発工程に無駄な作業があり、値段が高くなっていた → 無駄な作業を排除し、コスト削減を行う
  • 顧客は、値段の高さではなく、費用対効果に不満があった → 費用対効果が最大となる構成案を考える
  • 値段が高いとは断るための方便で、実は別に原因があった → 別の原因の解決を図る

「具体→抽象→具体」という抽象化と具体化を組み合わせた「根本的な問題解決」です。まずは現実の事象を具体的にとらえ、それを一度抽象化して根本的課題を追求したのちに、その解決策を実践に導くために再度具体化するという具体と抽象の行き来による問題解決で、本書が目指しているのはこのパターンです。

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.311/2300より抜粋

思考トレーニングするための29の問題

本書は、最後に紹介した「具体→抽象→具体」の思考トレーニングを29問用意しています

トレーニングといっても、決して難しい、厳しいものではなく、誰もが親しめる身近な話題を題材にしています。

たとえば、以下のようなトレーニングがあります。

【問題】住居に関して「持ち家か賃貸か?」という議論がよくされますが、これと同じような構図の話が住居〝以外〟にもないでしょうか?

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.369/2300より抜粋

【問題】以下のものの共通点はなんでしょう?
「目覚まし時計」「懐中電灯」「旅行代理店」「カメラ」「お金」

引用:Kindle版『具体⇄抽象トレーニング』No.449/2300より抜粋

 

本書を読み終わる頃には、これまで取り組んできた問題が違った形で見えてくることでしょう。
まずは、あまり難しく考えず、気楽にトレーニングに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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