- 企画や提案がなかなか通らない
- ロジカルシンキングで論理的にやっているのに、なぜかうまくいかない。
- 企画書は完璧なはずなのに、人が動いてくれない。
仕事をする上で、データや数字に基づいて論理的に、いわゆるロジカルシンキングで企画や提案を作成することが求められ、身につけてきた。それなのに、なぜかうまくいかない。そんな経験はありませんか?
そんな方におすすめしたいのが、「右脳」つまり感情や勘を効果的に使って仕事をより効率的に進め、成果をあげる方法です。
企画が通らないのはロジックのせい
早稲田大学ビジネススクール教授である内田和成さんの著書「右脳思考」では、感情や勘という「右脳」を使って仕事をスムーズに進める方法を紹介しています。
ボストンコンサルティンググループの日本代表も務めた著者が、経験した内容を織り交ぜて書いたこの著書から、優れた経営者やできるビジネスマンがどのようにして考え、行動し成果をあげているのかをご紹介いたします。
ロジカルシンキングの落とし穴
私生活では直感や相手を観察することで物事を決めている人でも、仕事ではデータや数字をもとに決断し提案していることが多いです。市場調査やニーズ、競合との比較分析、収支計算など、必要なデータや資料を揃えて企画書を作成したにも関わらず、企画が通らなかった。
そんなときに見落としているのは、意思決定する相手の感情です。
単純に企画の問題ではなく、意思決定者に何か心理的抵抗がある場合もあるといいます。その場合、ロジカルなデータではなく感情を理解することが大事になります。
つまり、左脳ではなく右脳を使って相手の心理状態を読み解くことがカギになります。
結局、人間を動かすのはそれが正しいか、間違っているか、あるいはやるべきかどうかという理屈、すなわちロジックではない。やりたいとか、面白そうとか、やらないとまずいなといった気持ち、すなわち感情である。
引用:p.33「右脳を使うことが重要な理由」より
企画を通す「感情」と「勘」とは
成功者の意思決定方法
成功している経営者にはある特徴的な行動パターンがあるといいます。
それは、「ロジカルシンキングで考えると成功確率が低いので止めたほうがいいという道を選んでいる」ことだと述べています。「これはいける」と感じた道を選び、試行錯誤して事業を成功させ、気がついたらそれが理にかなっていた。
必ずしもロジカルに物事を分析してからはじめるわけではなく、直感や経験から気づいたこと、思いつきが、後になって振り返ると理論的にも正しい事業になっていることがあるということです。
リスクや成功を勘で見極める
会議での承認や稟議でOKを得るときなど、「馬鹿正直に書類だけ準備して、会議に臨むのは愚の骨頂である」と筆者は述べています。
この企画に誰が賛成で、誰が反対しているのか、どんな疑問や不安を持っているのかなど、この企画を通すために一体どんなリスクがあるのかを見極めることが大切です。
ロジカルに企画書を準備したらそれにとどまらず、「なんか気になる」という兆候を見逃さずに、意識して勘を働かせることがリスクへの対処に役立ちます。また、「うまくいきそうだ」という勘も、論理的に正しい選択をしようとするよりも良い選択になる場合があるといいます。
とくに、どちらが良いか一概に決められるものではない決定の場合などは、経験に基づく判断や勘を使って決める方が良いと著者は述べています。
結局、人は感情で動く
人間はロジックで動かず、感情で動くのである。
引用:p.50「右脳を使うことが重要な理由」より
相手の感情的な判断で企画が通らないとき、「理屈が通らないのは仕事ができない人だ」と否定してしまうのではなく、なぜ納得しないのか、何が気に入らないのかを見極めることを勧めています。
まず、はじめにその企画のロジカルな部分を検証し、次のステップとして、相手にどのような感情があるのかを見極めることが大切だということです。
著者はロジカルシンキングを否定しているわけではありません。
「ロジックだけでなく感情や勘、すなわち右脳を働かせることで仕事を効率的に進める、あるいは、成果を上げることができる」ことを伝えています。
ロジックだけではなく、感情や勘、思いつきだけでもない。
双方を共に活用することが、仕事の成果につながる。
第二章以降、右脳の使い方、右脳と左脳の相互利用でうまくいく方法、右脳の鍛え方など、ビジネスに役立つ思考や実践方法が紹介されています。
思いつきやひらめきは心がワクワクして出てくるものです。仕事においても、心が動かされるようなことに人はついてきます。ロジカルで正しくてもなんだか気乗りしなかったら?
正しいはずなのになぜかうまくいかない。そんな悩みに行き当たったとき、左脳を使ったロジカルシンキングだけでなく、右脳を使い感情や勘を働かせて相手の心や状況を見極める、「右脳思考」を試してみてはいかがでしょうか。