「このまま会社にいていいのだろうか?」
と、だれもが一度は思ったことがあると思います。
- 会社を辞めるべきか、それともこのまま残るべきか…?
- 自分の市場価値は、いったいどれくらいあるのだろうか。
- 「年収は下がるけど、魅力的な会社」への転職はありなのか?
- 「本当にやりたいこと」が、いつまでたっても見つからない…。
- この仕事は、ひょっとしていつかなくなるのではないか?
でも、いったいどうすればいいのか?
(初めて転職する方の場合は、なおのことだと思います。)
今回は、「このまま今の会社にいても良いのか?」と思った時の「転職の考え方」について紹介です。
本書は、ストーリー形式でありながらも、転職を悩む方の不安や葛藤に寄り添って作られているため、実際の転職活動に必要なことを習得できるように設計されています。
さらに、各章末では、図やメモとしてまとめられているため、まとめ部分だけ追っても実際の転職活動に手早く役立てることができる作りです。
「一生食える」を確保する4つのステップ
「転職の思考法」(著 北野 唯我,ダイヤモンド社)の著者いわく、転職に必要なのは知識でも情報でもなく、どう選べばいいかの判断基準、つまり『思考法』であると述べています。
自分の「マーケットバリュー(市場価値)」を測る
筆者いわく、会社が潰れても一生食べていける人と、食べていけない人の違いは、「上司を見て働く」か、「マーケットを見て働くか」の違いだといいます。
マーケットを見て働くには、まずは自分のマーケットバリュー、つまり市場価値を理解することから始まります。
引用:Kindle版 p.221より
マーケットバリュー
- 技術資産
- 人的資産
- 業界の生産性
技術資産:どんな会社からも必要とされる高い技術を持った人間。
人的資産:どんな人間とも仲良く慣れる可愛がられる力を持った人間。
業界の生産性:とくに才能がなくても、業界が安定しているため高い給与をもらい続けられる人間。
そして、マーケットバリューは業界の生産性に最も大きな影響を受けるため、技術資産や人的資産がない場合は「生産性が高い業界」か「成長段階にある業界」で働くことでマーケットバリューを高めることができる。
今の仕事の「寿命」を知る
プログラミングという技術が100年前に存在しなかったことや、新聞や雑誌の発行部数が減るにつれて新聞の広告代理業は消えつつあるように、仕事とは生まれて消えるものであるといいます。
引用:Kindle版 p.395より
- 「ニッチ」:他に誰も同じことをしていないので代替えのきかない
- 「スター」:その仕事が儲かることがわかり、同じ仕事をする人が後追いで増えていく
- 「ルーティーンワーク」:仕事が汎用化され誰でも模倣できる再現性のある形でシステム化される
- 「消滅」:大きい人件費を機械によって代替えする方向
自分の技術を一覧にして、ライフサイクルに当てはめることで、自分という商品の賞味期限が見えてきます。
さらに、「成長段階にある業界」で働いた経験は、それだけで「技術資産」になります。経営者の視点からすると、同業他社で成功を経験している経験者を雇いたいからです。
そして、自社だけでなく競合も含めて全体的に利益を落としているのは、マーケットが縮小しているため注意が必要になります。
強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする「ピボット型キャリア」
ピボットとは企業経営で使われる言葉で、方向転換や路線を変えることを意味します。
ここでの「ピボット型キャリア」とは、自分の強みに軸足を残しながら、もう片方を今後強くなる部分に少しずつ、ずらしていくという考え方のキャリア形成です。
引用:Kindle版 p.642より
伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める方法
複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
具体的な調べ方は「○○業界 ベンチャー」などで検索して調べる方法があります。そして、設立年度が若い会社が多くあり、投資も集まっていれば、それは「伸びているマーケットに人と金が群がっている証拠」であることが多いということです。
既存業界の非効率を付くロジックに着目する。
現場を知っている人から馬鹿にされるような、非効率を覆すロジックが強固であるほど、あとはそのタイミングがいつくるかの問題になる伸びるマーケットを見つける方法です。
転職というよりは起業視点での考え方になります。
以降の章では、「良いベンチャーを見極めるポイント」や「転職エージェントの使い方」、「中途で入るべき会社と新卒で入るべき会社の違い」「心から納得のいく仕事を見つけるために必要なこと」などが詳しく解説されています。
さらに、
「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
終身雇用がとうに崩れ去った現代でも、未だに根強い「転職に対するネガティブなイメージ」をバッサリ切り捨てる第2章では、本書に対する安心感を持つことができました。
私自身、目標に向かって転職を何度かして、失敗も経験している身です。
「もっと早く出会いたい本だった…」そう思わせてくれる1冊でした。