『究極のマーケティングプラン』(著者 ダン・ケネディ,監訳 神田昌典)の著者のマーケティングに対しての基本的な考えは、「マーケティングとは、適切なメッセージを、ふさわしいターゲットに、適切な手段と方法で到達させる」ということです。
監訳を引き受けた神田昌典さんが、初版1991年に刊行されたこの本を見て、自分のビジネスに即役立てられそうな箇所をいくつも見つけています。
そして、古いどころか「ようやく日本で実践するタイミングがきた」と思える施策をいくつも見つけているのです。
日本より何年も進んでいる本場アメリカのマーケティング手法。
そんな本場のマーケティングの原理原則について書かれた本書の中から、マーケティングを構成る3つの要素である「適切なメッセージの組み立て方」「ふさわしいターゲットの選び方」、そして「適切な方法と手段を使った伝え方」について紹介します。
顧客や見込み客の注目、関心、お金をめぐって張り合う競争相手はたくさんいるなかで、あなただけが商品やサービス、ビジネス内容について適切なメッセージをつくり、適切な手段と方法を選択して、ふさわしい見込み客を見極めて伝える。
熾烈な競争に勝つための、「究極の」マーケティングプラン。
今回はそのプロセスについての紹介です。
適切なメッセージの組み立て方
著者はまず「電話帳を覗いてみる」ことを勧めています。
これは電話帳に載っている業種のページから、以下の事実が浮かび上がるからです。
- 同じ業種内でどんな約束をしているか
- その業種の特徴や利点、宣伝文句
- どこも同じメッセージを発信している
これらのことからライバルに対するあなたの位置づけを明確するユニーク・セリング・プロポジション(Unique Selling Proposition ※以下USP)が出来上がります。
「ずば抜けたUSPのがあれば企業帝国が築ける」と豪語する著者は、例として「できたてのピザを30分以内に届けられなかったら無料」というサービスを行っている「ドミノ・ピザ」を挙げています。
そして、あなたのUSPを見つけ出す考え方はこうです。
「他にもいろいろ選択肢があるのに、どうしてあなたのビジネス/商品/サービスを選ばなくてはいけないのか?」
引用:p.30「適切なメッセージを組み立てる」より
商品やサービスの事実、特徴、利点、保証内容、オファー内容について自分のビジネスと競争相手について知っていることから「お客様にとって重要と思われる順」「差別化するのに役立つ順」に並び替える。
こうすることで、最適のUSP、それを裏付ける販売構想、それに結びつくさらなる関連オファーを思いつきやすくなります。
適切な手段と方法で伝え方
伝え方のコツ1 ステップを踏む
何らかの行動を顧客にしてもらうためには5つのステップを踏む必要があるといいます。
- ニーズと欲求、またはそのどちらかに気づく
- そのニーズ/欲求を満たす「もの」を選ぶ
- その「もの」をどこで入手するかを選ぶ
- その入手先の価格で納得する
- 今すぐ行動しなくてはならない理由を見つける
すべて1から順に行う必要もなく、商品やサービスによっては2からはじめていい場合もあります。
伝え方のコツ2 興味をそそる
どんなに商品やサービスが素晴らしかったとしても、誰の目にも止まらなければ「存在しないも同じ」です。
これは広告の世界では鉄則で、とにかく認知されなければ始まりません。
理屈や感情でそそる引きが必要なのです。
メッセージを面白く伝える5つの方法
- 使用前/使用後の写真を使う
- 喜んでいる顧客の体験談を再現する
- びっくりするようなデータを示す
- 印象に残るキャッチフレーズ、タイトル、説明を使う
- 実演してみせる
伝え方のコツ3 行動を起こしてもらう
いわゆるクロージング(受注/契約)
著者のマーケティングに対しての基本的な考えである「適切なメッセージを、ふさわしいターゲットに、適切な手段と方法で到達させる」
到達、つまり商品やサービスを購入してもらうためにはどうすればいいのか?
例)「いますぐお電話ください」「ぜひご購入ください」etc
それをしっかりと伝えることで、「ふさわしいターゲット」が「到達できる」のです。
ふさわしいターゲットの選び方
誰に対しても言っていることは、誰にも言っていないのと同じ。
こちらも広告の世界ではよく言われています。
どんな商品、サービス、ビジネスでも、ある特定のグループにアピールするほうが、誰にでもアピールするよりもずっと効果があるのです。
ターゲットを絞る3つの方法
- 地理で絞る
- デモグラフィック(顧客の属性データ)で絞る
- 親近感、つながりなど共通点を見出す
以降の章では、「売り物の良さを証明する方法」「タダで宣伝する方法」「話題になる方法」「お金をかけないマーケティング戦略」「トータルカスタマーバリューを最大にする4つの方法」が掲載。
実際に使用された広告コピーや考え方の流れ、巻末にはマーケティングプランを作成するためのフレームワークのシート(使い方例付き)が付属しています。
マーケティングに興味がある方や駆け出しのマーケターの方は、本場のマーケティングの考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。