新しいアイデアでみんなをアッと言わせたい。「その手があったか!」と思わず膝を叩きたくなるようなひらめきが欲しい。
常識から抜け出して、一足跳びに問題を解決できる。
そんな思考法が『ずるい考え方』(木村尚義著)で紹介されている「ラテラルシンキング」という思考法です。
予想外で、斬新で、画期的で、しかもいち早く問題を解決してしまう考え方。
まわりの人が「あんなふうにやれば良かったんだ」とガックリし、思わず「ずるいッ!」と足を踏みならすような考え方なのです。
引用:p6「はじめに」より
新しいアイデアを生み出す思考法とは?
ラテラルシンキングの特徴
ラテラルシンキングは発想の枠を広げる思考法です。ラテラル(Lateral)は「水平」という意味があり「水平方向に視点を広げる思考法」だということです。
視点を広げる際にさまざまな選択肢が生まれますが、どんなものであれ、問題の解決につながるものはすべて正解。
答えが多ければ多いほうが望ましく、あらゆる案に対して「それもアリだね」という態度をとる思考法なのです。
引用:p24 「ようこそ!ラテラルシンキングの世界へ」より
唯一の正解というものはなく、思考の幅を広げて考え方の可能性を拡大し、あらゆる選択肢を生み出す思考法なのです。
そのほかにも以下のような特徴をあげています。
- あらゆる前提から自由になる
- 今までにないものが生まれる
- 問題が最短ルートで解決される
- お金/時間/手間が節約できる
ラテラルシンキングは、常識に縛られない発想で新しいものが生まれやすくなり、誰も気づかなかった近道や奥の手を発見することもあれば、結果としてお金や時間、手間を大幅に節約できる。
そんな、魅力的な思考法なのです。
ロジカルシンキングとの違い
ラテラルシンキングとロジカルシンキングの違いを、著者は端的にこう表しています。
「積み上げるロジカル、ジャンプするラテラル」
ロジカルシンキングとは、論理的思考のことで、「物事を順番に積み上げながら、筋道立てて正解を導いていく考え方」ということです。
これに対してラテラルシンキングは、順番や過程はあまり問題にならず、「スタート地点からジャンプして、いきなり答えに到達してもいい」と述べています。
問題を解決するとき、ロジカルシンキングで問われるのは「過程」であり、ラテラルシンキングで問われるのは「結果」なのです。
引用:p25 「ようこそ!ラテラルシンキングの世界へ」より抜粋
こんなところにも!ラテラルシンキングの具体例
私達の日常生活のいろいろな場面でも、ラテラルシンキングで生み出されたものがあり、本書ではいくつか紹介されています。そのうちの一つをご紹介します。
それが「自動改札機」のとある特徴です。
ICカードで交通機関が利用できる便利な改札機ですが、相互乗り入れが増え複雑な運賃計算にかかる「時間」が問題となりました。
そこでとられた解決策が「計算速度をあげること」ではなく、「自動改札機を長くする」でした。
ロジカル的な発想ではなく、ラテラル的な発想で必要な計算時間の分だけ乗客が通る改札機を長くしたということです。
新しいアイデアを生み出す3つの力
ラテラルシンキングができるようになるには頭の中の「環境」を整えることが必要だと著者は述べています。その環境に必要な力が次に紹介する3つの力です。
疑う力
常識や先入観など固定観念にとらわれると、自由に発想できなくなり思考停止を引き起こしてしまいます。
ラテラルシンキングの自由な発想を生み出すためには、「あらゆることを疑ってみること」が必要だといいます。
本書では「疑う力を鍛えるマジックワード」をいくつか紹介しています。
「なぜ?」「本当?」など、疑問を持ち、提示された前提を疑ってみることで、思い込みの呪縛から解放され自由な発想を手に入れることができるということです。
抽象化する力
抽象化とは、「物事の本質や機能に注目すること」と著者は述べています。
本質を見抜けば発想が広がります。そして、本質は見方によって変化するといいます。
著者は発想力を鍛える訓練として、身近なものを取り上げて「30通りの使いみちを考えるゲーム」を行っていたといいます。
「普段から、あらゆるものに対して、『何をするものか?』『他の用途はないか?』と考える習慣をつけること」で、発想の引き出しが増えると述べています。
セレンディピティ
セレンディピティとは、「何かを探しているときに、それとは別の価値あるものを偶然見つける力」と定義しています。
「セレンディピティは日常の何気ない風景から貴重な宝物を発見する能力」だといいます。
偶然からインスピレーションを得るために、感性のレーダーを磨くこと。そのために、「当たり前のことに驚くクセをつける」ことをおすすめしています。
無理やりにでも驚き、感動していると、脳がダマされてどんなことにも自然と感動するようになるといいます。
「セレンディピティという能力は、常に驚き、感動することで磨かれていく」と述べています。
第3章以降、具体例を取り上げながらラテラルシンキングについて紹介しています。
最終章では、演習が用意されておりますので、ラテラルシンキング力を試してみたい方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。