イシューからはじめる!! 本質を見極める考え方

「本質」とは、そのものとして欠くことができない、最も大事な根本の性質・要素のことをいいます。

使い方としては、「問題の本質をつく」「本質を見極める」などです。

思考方法や問題解決の方法として多くのフレームワークがありますが、本質を見抜く力さえあればあらゆる問題に対してゼロベースで答えを出すことが可能になります。

では、その本質を見抜く力をどうすれば身につけることができるのか?

その答えは、『イシューからはじめよ「知的生産のシンプルな本質」』(著 安宅和人,英治出版)にありました。

今回は、本質を見抜く方法についての紹介です。

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イシューとは

著者によると、イシュー(issue)の定義は、次の2つを満たすものだといいます。

  • 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
  • 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

このイシューを解くことが、すなわち「本質を見抜く」ということです。

本質を見抜くために一般常識を捨てる

「イシューからはじめる」ということが、「生産性向上のために効率を重視する」という「ライフハック」とは方向性が異なります。

著者は「生産性」の定義を「どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか」としています。このことから、生産性を上げるためには同じアウトプットを生み出すための労力・時間を削り込む、もしくは同じ労力・時間でより多くのアウトプットを生み出さなければならない、ということが分かります。

「多くのアウトプット」とは、ビジネスパーソンであればきっちりと対価がもらえる、研究者であれば研究費のもらえるような「意味のある仕事」。著者によるとこうした意味のある仕事を「バリューのある仕事」としています。

その「バリューのある仕事」を成す2つの軸として、「イシュー度」と「解の質」をあげています。

イシューの定義

  • イシュー度:自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ
  • 解の質:そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い

多くの人は「解の質」が仕事のバリューを決める、と考えており、「課題の質」についてはあまり関心をもたない傾向があるそうです。本当にバリューのある仕事をして世の中に意味のあるインパクトを与える、あるいは本当にお金を稼ごうとするなら、この「イシュー度」こそ大切だと述べています。

「イシュー度」の低い仕事はどんなにそれに対する「解の質」が高かろうと、受益者(クライアント・評価者)から見た時の価値はゼロに等しいからです。

正しくイシューを見極めることが大切なのです。

「解く」前に「見極める」

  1. イシューを見極める
  2. 仮説を立てる
  3. イシュー特定のための情報収集

イシューを見極める

正しいイシューを見極めるには、いろいろな検討を始めるのではなく、「イシュー(の見極め)からはじめる」ことが極意だといいます。

つまり、「何に答えを出す必要があるのか」という議論からはじめ、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していくのです。

たとえ分析結果が想定と異なっていたとしても、それも意味のあるアウトプットになる確率が高いといいます。なぜなら、「そこから先の検討に大きく影響を与えること」に答えが出れば、ビジネスでも研究でも明らかな進歩になるからです。

問題はまず「解く」ものと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわちイシューを「見極める」ことだ。

(中略)

「これは何に答えを出すためのものなのか」というイシューを明確にしてから問題に取り組まなければあとから必ず混乱が発生し、目的意識がブレて多くのムダが発生する。ビジネスであれ研究であれ、1人で取り組むことはほとんどないだろう。チーム内で「これは何のためにやるのか」という意思統一をし、立ち直れる場所をつくっておく。

引用:P.46「イシュードリブン」より

こうすることで生産性が下がってきたときには、チーム全体でイシューの意識合わせを行うことができるのだといいます。

良いイシューの3条件

  1. 本質的な選択肢である
  2. 深い仮説がある
  3. 答えを出せる

本質的な選択肢である

よいイシューはすべからく、それに答えが出るとそこから先の検討方向性に大きく影響を与えるものであるということです。

深い仮設がある

「常識を覆すような洞察」があったり、「新しい構造」で世の中を説明したりと。こうすると、検証できれば価値を生むことを誰もが納得できる。

答えを出せる

「重要であっても答えを出せない問題」というのは世の中にいくらでもある。

よいイシューとは、「きっちりと答えを出せる」ものでなければならない。


 

「(イシューからはじめよ」読書メモ)

以降の章では、「イシューを分解して、ストーリーラインを組み立てる(イシュー起点でストーリーを組み立てる)」「軸を整理する方法」「イメージの具現化」「データを取る方法」「実際の分析について」「伝えるモノのまとめ方」について詳しく述べられています。

知的生産の「シンプルな本質」である「イシュー」

本質的なものを考え方を身に付けたい方には、ぜひ読んで頂きたい1冊です。

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